仕訳で読み解く粉飾のメカニズム: キャッシュフロー粉飾の罠を探る

仕訳で読み解く粉飾のメカニズム: キャッシュフロー粉飾の罠を探る

定価:2,750円(税込)

編・著者名:足澤 聡[著]

発行日:2025年05月23日

判型・体裁・ページ数:A5判・並製・236ページ

ISBNコード:978-4-322-14552-6

書籍紹介

その闇に包まれた成立過程を白日のもとにさらす

画期的な「粉飾決算入門」!

◆実務に必要十分な簿記・取引仕訳の基礎をわかりやすく解説

◆取引仕訳にさかのぼって粉飾決算のパターンを包括的に整理

◆都市銀行で融資審査、金融庁・関東財務局で金融検査に従事してきた経験をもとに現在の金融実務の問題点を指摘

なぜ今、粉飾が増えているのか、その答えがこの1冊に詰まっている

「粉飾シミュレーションシート」ダウンロード特典付き

主要目次

第1章 粉飾とは

粉飾の概要/粉飾のトライアングル/粉飾手口の特徴

第2章 粉飾決算増加の背景

粉飾の質的変化/金融検査マニュアル以前の当局査定/短期継続融資をめぐる要管理債権問題/債務者区分ありきの審査・与信管理態勢/長期運転資金の増加がもたらした与信ポートフォリオの変化/与信管理の基本動作は短期継続融資にあり/収益弁済と資金繰り弁済/コントロールベースからリスクベースへの転換

第3章 粉飾解明のカギは複式簿記にあり

BSとPLの連動性への理解を試すための質問/貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)の垣根を取り払え/貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)の機能的役割の違い/複式簿記の基本ルール/ホームポジション取引と逆ポジション取引/8つの取引パターン/取引パターンにはない取引仕訳

第4章 粉飾手口の類型化

取引の二面性と取引の推考/粉飾決算の公式/粉飾手口の類型化/粉飾決算と運転資金の関係

第5章 粉飾決算と経常収支

資金収支分析のアプローチ/ケーススタディによる経常収支分析/経常収支比率による粉飾チェックの留意点

第6章 粉飾決算とキャッシュフロー計算書(CS)

キャッシュフロー計算書(CS)の仕組み/地場中堅企業のキャッシュフロー計算書(CS)/営業CFに影響を与えない粉飾手口/営業CFを偽装する手口(キャッシュフロー粉飾)/減価償却不足のケース/キャッシュフロー計算書(CS)による企業のパターン分析/第6章のまとめ

第7章 粉飾発見の手がかりとなる勘定科目や財務指標

貸借対照表(BS)に表れる兆候/PLに表れる兆候/労働分配率の低下(売上総利益に占める人件費の割合)/未成工事支出金――建設業に特有な勘定科目

第8章 キャッシュフロー粉飾の事例研究

堀正工業――借入金の売上計上と架空仕入を用いた売上原価の調整/㈱トガシ技研――融通手形操作による循環取引

第9章 粉飾の早期発見と未然防止の処方箋

粉飾決算の影響と「粉飾リスク」の特徴/リスクベース・アプローチによる粉飾リスクの洗い出しと確認プロセス/粉飾検知マップ/未然防止策の検討/長期運転資金の管理ルール見直し/期中管理による経常運転資金の把握

終章

著者紹介

足澤 聡(あしざわ さとし)

株式会社RAF研究所 アドバイザー

有限会社竹橋経営コンサルティング 非常勤取締役

東北大学経済学部卒業後、北海道拓殖銀行・整理回収機構(RCC)勤務を経て、財務省関東財務局に入局し、その後金融庁に出向。金融検査マニュアル導入当初から金融庁検査に従事し、金融庁では貸出担当(貸担)として、地銀の資産査定を統括。関東財務局に戻った後は特別金融証券検査官として、首都圏、関東甲信越の地銀・大規模信金の主任検査官を歴任。退官後は、プロモントリーフィナンシャルジャパンLLCのシニアプリンシパルとして金融機関に対するコンサルティング及びウクライナ大手銀行の資産査定業務を行う。

一般社団法人地方銀行協会、一般社団法人第二地方銀行協会、一般社団法人CRD協会等で講演や研修講師を行う。現在は銀行研修社の専属派遣講師として「粉飾」をテーマとする研修の企画・実施を手掛ける。

著作に、通信講座「融資判断基礎講座」(銀行研修社)。