定価:2,200円(税込)
編・著者名:古川 直裕/吉永 京子[著]
発行日:2024年05月15日
判型・体裁・ページ数:四六判・並製・308ページ
ISBNコード:978-4-322-14448-2
AIのあらゆるリスクに対処した「責任あるAI」と
それを実現するためのルールとは?
「AI事業者ガイドライン」(総務省・経済産業省)の策定にかかわった著者が、AIがもたらすリスクと希望をあきらかにし、人、企業、国がAIとどう向き合っていくべきかを綴る。
人間はテクノロジーによって支配されるのではなく、テクノロジーをコントロールしながら、自分たちにとって最善の方法で活用していかなければならない。
AIを恐れず、AIが不可欠な社会で生きていくために、必要なことを読者と一緒に考える。
第1章 社会に浸透するAI
金融機関での融資の拒絶/採用AI/Chatbotとの会話による自殺/AIのリスクと利用の促進/シンギュラリティ? 超知能? 人類の滅亡?
第2章 AIによるリスク
AI倫理と責任あるAIとは/仕事の喪失/差別/プライバシー/透明性
第3章 生成AIによるリスク
生成AIの課題/誤情報/ディープフェイク/違法・有害コンテンツ/バイアス/著作権/プライバシー/その他の問題/働くことにもたらす影響/教育にもたらす影響/ChatGPTに関する公的機関によるドキュメント類
第4章 不吉な未来
ブラックボックスな社会/すべてはAI任せ/人間の能力の低下/多様性の欠如
第5章 AIに関する国内外のルール
規制のアプローチ/国際機関におけるAI原則――OECD、G7、G20を例に/各国・地域におけるアプローチ/そもそもAIをなぜ規制する必要があるのか
第6章 人間なら安心か
AIではなく人間だったらいいのか/人間の信頼性とは
第7章 AIがもたらす可能性
生産性向上/効率化/危険な作業の回避/評価してもらえる機会の創出・公平な評価/社会の安全/学習の機会・能力の向上/熟練技能者の技能を保存/待機児童の解消/ヘルスケア/環境問題/人間に寄り添う存在?
第8章 何をすればよいのか
人間によるチェック、モニタリング/適切なタイミングでの人間の介入/透明性(Transparency)/アカウンタビリティ(Accountability)/制御可能性(Controllability)/アセスメント/フィードバック/監査等/外部諮問組織/事例共有/従業員教育/生成AIへの対処/学際的な視点・教育の重要性/人間の「知りたい」という欲求とどうバランスをとるか
第9章 組織と社会の設計図
組織におけるリスクマネジメントの構築/組織のあり方/社会のあり方
第10章 国に求められること
行き過ぎる規制によってイノベーションを阻害しないために/分野横断的なAIを所管する組織の必要性/インシデントの共有体制/AI兵器を開発・利活用しない/ガイドラインの制定/AIの使い方に関する周知と教育/AIのリスクをふまえた政府調達基準の整備/先ず、隗より始めよ
古川 直裕(ふるかわ なおひろ)
弁護士、株式会社ABEJA所属
情報処理安全確保支援士、スクラムマスター
東京大学法学部、東京大学法科大学院を卒業後、弁護士事務所所属の弁護士を経て、インハウス弁護士に転身。その後、約3年間にわたりAI研究・開発に従事し、AIの企画、データ収集および前処理、モデル実装・学習、性能評価などAI開発のほぼすべての過程を行う。また、AI開発チームを組織し、チームリーダーとして画像解析AIを中心に自らプログラムを書いてAI開発に従事する。2020年2月から現職。AIに関する法務および倫理を主に取り扱い、AI倫理コンサルティングの提供を行っている。
吉永 京子(よしなが きょうこ)
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任准教授
東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。三菱総合研究所の研究員として、情報通信・メディア・情報セキュリティの分野で政策立案支援や法制度改正に長年関わったほか、同社のAI事業推進のポリシー策定や、民間向けAI開発事業の現場でコンプライアンス・リスクマネジメントを担当。2023年10月から現職。ジョージタウン大学ロースクールのテクノロジー法・政策研究所のNon-Resident Fellow、東京大学未来ビジョン研究センター客員研究員、GPAI専門家委員も務める。専門はAIのガバナンス、法と倫理。日本人初の客員研究員として、2010~2011年にイェール大学ロースクール情報社会プロジェクト、2020年よりジョージタウン大学ロースクールテクノロジー法・政策研究所に所属し研究に従事。幼少期を含みアメリカとイギリスで合計11年半を過ごす。二児の母。