わかりやすい事業再生手続

わかりやすい事業再生手続

定価:2,750円(税込)

編・著者名:阿部 信一郎[著]

発行日:2023年09月30日

判型・体裁・ページ数:A5判・並製・196ページ

ISBNコード:978-4-322-14378-2

書籍紹介

「倒産法」から「事業再生法」へ

国際的な倒産・事業再生事件にも多数関与した著者が、

日本・世界の動向を探り、事業再生の現在を語る

本書の主な内容

第1章 事業再生とは何か

第1節 倒産と事業再生との関係

企業が倒産するのはなぜか/倒産してからの再建ではなく早い時期からの事業再生がよい

第2節 事業再生に必要な財務・会計

法的概念としての債務超過/債務超過の解消はどうするか/簿記の知識も必要となる/会社の財務内容や損益状況を知るには/事業再生にも関係する簡単な財務分析/不適切会計(粉飾決算)とは何か

第3節 事業再生のための企業(事業)価値評価の手法

デューディリジェンス(DD)による企業価値の把握/企業や事業の価値評価:3つの評価法/EBITDA、キャッシュフロー/企業(事業)買収の手順、入札、ストーキング・ホース

第4節 日本の企業倒産の特徴

不動産担保中心の融資とその変遷/手形不渡りと倒産/中小企業の「ゾンビ企業」化/政府による事業再生への強い関与

第5節 事業再生をめぐる現在までの状況

間接金融から直接金融へ/収益性を重視した融資への転換/中小企業の目利きを重視した企業再生/企業財産全部を対象にした包括的な担保制度/シンジケート・ローン/財務制限条項(コベナンツ)とモニタリング/メインバンクシステムの終焉とコロナ禍での復権

第2章 事業再生の手法とそのツール

第1節 事業再生の手法

事業の買収M&Aの手法/事業再生にM&Aは有効/M&Aのアドバイザーとスポンサー入札の方法/事業譲渡と会社分割

第2節 事業再生計画立案とアドバイザー

事業再構築計画の立案/財務再構築計画の立案

第3節 ファイナンスの各種の手法

DIPとDIPファイナンスは米国発祥/日本のDIPファイナンス/DIPファイアンスの担保や種類など/流動資産担保融資(ABL)/メザニンファイナンス

第4節 DES(債務の株式化)とDDSの進展

なぜ、DESが使われるようになったか/DESの隆盛とその後の凋落/DDSとは何か

第3章 事業再生のプレーヤー

第1節 ターンアラウンド・マネージャー

第2節 ファンド

ファンドとは/事業再生ファンド/官民ファンド/プライベード・デッド・ファンド

第3節 サービサー(債権回収会社)

第4章 不良債権処理と事業再生

第1節 90年代のバブルの後始末と類似するポストコロナの動向

第2節 不良債権と金融機関による処理

不良債権に関する法律/債務者区分と債権分類/金融機関による不良債権処理の手法

第3節 大量の不良債権処理

買い取った不良債権等の処理方法/バッド・バンク方式による不良債権処理/世界各国で作られた不良債権管理会社(AMC)/日本における不良債権の資産管理会社の発達/政府によるさまざまな関与形態

第5章 事業再生と法制度

第1節 日本における倒産法制

第2節 純粋私的整理

伝統的な私的整理/再建型の純粋私的整理/清算型の私的整理/純粋私的整理の問題点

第3節 準則型私的整理

21世紀になって発達した新しい手続/私的整理のガイドラインの隆盛と凋落/事業再生ADR手続の隆盛

第4節 民事再生法による事業再生

民事再生手続の利用活発化と最近の停滞/民事再生法の適用範囲と特徴/民事再生手続の概要

第5節 会社更生法による事業再生

会社更生手続の凋落/会社更生法の特徴/金融機関等更生特例法

第6節 清算型事業再生でスピードアップ

破産法の活用による再生/特別清算による第二会社方式による再生

第7節 倒産法以外の事業再生関連法制

産業競争力強化法/特定調停法/事業再生に関係する税制/事業信託/経営者保証ガイドライン/中小企業版再生ガイドライン

事項索引

著者紹介

阿部 信一郎(あべ しんいちろう)

霞ヶ関国際法律事務所 弁護士[東京弁護士会]

中央大学法科大学院客員教授(事業再生法)、国士舘大学法学研究科客員教授(会社法)。中国政法大学客員教授(日本倒産法)。

事業の再編・再生取引はもちろん訴訟、仲裁やM&A、独占禁止法、コンプライアンス等守備範囲は企業法全般におよぶ。

2022年、日本で最大の再建事件となったマレリ株式会社の事業再生ADRにおいて手続実施者を務める。

事業再生家協会執行役員、倒産実務家日本協会理事、国際倒産再建協会(III)アジア・日本担当理事、事業再生研究機構会員、日米法学会会員、米国法律家協会会員、米国倒産協会会員、国際仲裁総合研究所(JIIART)代表理事