三週間の休暇

三週間の休暇

定価:1,760円(税込)

編・著者名:町田 哲也

発行日:2021年09月02日

判型・体裁・ページ数:四六版・308ページ

ISBNコード:978-4-322-13978-5

書籍紹介

出世レースから外れた消費者金融会社の女性と本気になれない契約社員の、人生を変えた3週間

「パン屋の自宅に行って借金の取り立てをするんだ。子どもの前で恥かきたくないっていうのが、親の気持ちだろっ!」
ペンギンファイナンス大宮駅前支店。督促に開き直り指を詰めようとする客、90万円の返済に窮して死を選ぶ客、なりすましで200万円をだまし取ろうとする客、ちっともいうことを聞いてくれない契約社員の部下たち……そこには、本社からほんの腰掛けのつもりで着任した田村美月には想像の及ばない世界があった。

現役証券マン作家が、自身の金融とのかかわりの根源を重ねながら描いた、消費者金融業界に生きる若者たちの人間ドラマ。金融専門紙連載中に好評を博した連載小説が待望の単行本化。

主要登場人物

田村美月(33)
ペンギンファイナンスの営業企画部から、部長に嫌われて大宮駅前支店に飛ばされる。ニックネームは「代理さん」。本社に戻りたい気持ちと業績不振の支店を立ち直らせたい気持ちの間で揺れる。

仲本雄次(33)
大宮駅前支店の契約社員で働きながら劇団に所属しているが、どちらも気持ちは中途半端。安定した生活を変えることへの不安から今の生活を続けている。

江口一雄(51)
大宮駅前支店の契約社員で、経験が一番長いリーダー的な存在。本社の社員は信用できないという考えを持っており、美月に対しても態度が冷たい。

小笠原伸江(45)
大宮駅前支店の契約社員で、二人の子を持つ主婦。バツイチで、男にだまされて金を借りに来た女性顧客には金を貸さないという信念を持つ。支店で営業成績はトップ。

三木田俊文(29)
大宮駅前支店の契約社員で、作家志望。8年間通った大学を中退して小説を書き続けてきたが、書き終えることができず、親に実家を手伝うようにいわれている。

外山由美(25)
大宮駅前支店の契約社員に採用されたばかりの新人。仕事に慣れず、いつも一人だけ帰りが遅い。恋人に強要されて、別人名義にもかかわらず200万円を融資することに。

北島十和子(23)
劇団の見習い。将来はブロードウェイでデビューしたいと志は高いが、おっちょこちょいでミスが多い。人一倍熱意はあるものの、舞台に立つと満足な演技ができない。雄次のガールフレンド。

著者紹介

町田 哲也
1973年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。大手証券会社に勤務する傍ら、小説を執筆。主著に、『ナイスディール』(2014年、きんざい)、『セブン・デイズ 崖っぷちの一週間』(2017年、光文社文庫)、『神様との取引』(2019年、金融ファクシミリ新聞社)、『家族をさがす旅 息子がたどる父の青春』(2019年、岩波書店)、などがある。