定価:1,760円(税込)
編・著者名:高田 創
発行日:2021年03月22日
判型・体裁・ページ数:A5 並製・196ページ
ISBNコード:978-4-322-13857-3
預貸ビジネスモデルの転換へ機は熟した!
2020年代半ばまでが生き残りの分かれ道
人口減少と高齢化、企業セクターの資金余剰部門への転換、マイナス金利、デジタル化の潮流――。構造不況といえる状況のなかで預金と貸出業務に収益の多くを依存する地域銀行のビジネスモデルは限界を迎えている。コロナショックも加わり、「脱銀行」に向け本気で改革に取り組むべき時が来ている。地域における信頼と顧客基盤を活かした投資銀行業務への取り組みなど、新しい地域銀行の姿を提示する金融関係者必読の一冊。
第1章 銀行は特別か
なぜいま地域銀行の問題なのか
半沢直樹、出向は都落ちか/預貸ビジネスモデルの限界/渋沢栄一が描いた銀行像と現実/銀行はつらいよ/銀行の「倍返し」は可能か ほか
第2章 前史―バブル崩壊と大手銀行・地域銀行
地域銀行はなぜ生き延びられたのか
大手銀行を直撃したバブル崩壊/コロナショックは地域銀行に大きな影響/「預金ファースト」「貯金ファースト」の見直しを/市場からの警告の強まり/「ブラックエレファント」は許されない ほか
第3章 コロナショックと「コロナ7業種」
再生のカギを握る地域銀行の対応
バランスシート調整の怖さ/コロナショックでは赤字補が出発点に/激震地は「コロナ7業種」の中小企業/「コロナ7業種」の「4―2―1」問題/「コロナ7業種」再生の主役は地域銀行/地域における「資本の好循環」実現を ほか
第4章 コロナショックと地域銀行
基礎的収益力低下に追い打ち
ダメージ大きい地域銀行/「コロナ7業種」の返済可能性/貸出態度の緩和姿勢と信用リスクの高まり/コロナショックと昭和金融恐慌 ほか
第5章 経営環境の構造変化
楽観的見通しとの決別を
第1の構造変化~人口減少と高齢化の加速/「波平さんモデル」から「人生百年モデル」へ/第2の構造変化~企業セクターが資金余剰部門に転換/第3の構造変化~世界各国に広がる「金利水没」/金利水没下での生き残り策としてのLED戦略/第4の転換~デジタル化 ほか
第6章 構造不況の地域銀行の処方箋
出揃った改革に向けた政策メニュー
戦後の産業調整政策からのヒント/第1の段階~独禁法特例法の制定/第2の段階~再編・統合の動き/第3の段階~持続可能な収支モデルの構築/第4の段階~業態転換による「脱銀行」化/地域銀行改革に向けた「太陽政策」/2020年代半ばまでを集中改革期間に ほか
第7章 地域銀行の戦略転換
「脱銀行」の実現に向けて
「貸出も(ルビ・)行う」ビジネスモデルへ/顧客基盤と信頼こそが地域銀行のレゾンデートル/地域密着型投資銀行業務の展開/地域商社を核とした経営改革/まずは4つの発想の転換から/検査マニュアル廃止で求められる「目利き力」 ほか
第8章 結語―コロナショックを超えて
「第二の創業」に踏み出す時
高田 創(たかた はじめ)
1958年生まれ。1982年3月東京大学経済学部を卒業、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。1986年オックスフォード大学開発経済学修士課程を修了。みずほ証券市場調査本部統括部長、グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長などを経て、2019年みずほ総合研究所副理事長。2020年岡三証券グローバル・リサーチ・センター理事長に就任。『銀行の戦略転換』東洋経済新報社(共著)、『これだけは知っておきたい国際金融』金融財政事情研究会、『2020年消える金融』日本経済新聞出版社(共著)、『シナリオ分析異次元緩和脱出』日本経済新聞出版社(編著)など著書多数。