判例に学ぶ決済サービスの法務と実務

判例に学ぶ決済サービスの法務と実務

定価:3,630円(税込)

多様化する決済サービスの問題解決法を実例に学ぶ!

◆カード会社30年の法務エキスパートによる、最新の海外事情もふまえた実務的判例解説。
◆キャッシュレスな決済サービスに共通の問題を、実際に起きた紛議から解りやすく説く。コラムも充実。
◆会員規約と法律、免責要件、会員の抗弁権、会員の義務違反、未成年者取消権、システム構築責任、加盟店管理、安全管理義務、債権管理……等の基礎的判例から、デビットカード、オンライン決済、決済代行等に係る希少な判例まで、多数収録。

主要目次

第Ⅰ章 キャッシュレス決済と会員管理・利用管理
1 各種カード取引と会員の責任
(1) クレジットカード会員の善管注意義務と責任
子供が親のクレジットカードを無断使用した場合に、会員の免責が認められた事例/不当に高額な請求を知らずに、カードを自ら交付して決済された場合に、支払義務の免責が認められた事例/本人からカード使用を許諾された者によるカードの使用が、詐欺罪に該当するとされた事例
(2) 国際ブランドデビットカードの無権限使用と会員の責任
国際ブランドデビットカードのPINコードを使用した不正使用に、盗難補償も預金者保護法も適用されないとされた事例
(3) 複数の決済手段が関連する取引と責任の所在
オンライン決済サービスの利用代金をクレジットカードに紐付けて決済した場合に商品に問題があっても、カード会社に対する抗弁が認められなかった事例
2 取引約款の規定の有効性についての判断
(1) 会員の責任条項と消費者契約法
暗証番号を用いたクレジットカード取引の場合に、カード会社は会員に支払請求をできる、とする条項が無効条項ではないとされた事例
(2) 期限の利益の喪失条項の有効性
クレジットカード会員規約の期限の利益喪失条項が消費者契約法に照らしても、無効ではないとされた事例/みなし到達の規定は、届け出られた住所についての適用は認められるが、貸主が調査して判明した住所についての適用は認められないとした事例
(3) 所有権留保特約と破産法上の効力
駐車場に放置された自動車について、所有権留保した者に撤去義務が認められた事例/破産手続において、別除権行使をするには、所有権留保の登録が必要であるが、法定代位により、販売店名義の登録により、対抗できるとされた事例/登録の不要な軽自動車の場合、破産手続において別除権行使するには、所有権留保権者への占有改定による引渡しがなされていることが必要であるが、明文の規定がなくとも、当該契約書の条項全体および当該契約を行った当時の状況等を当事者の達成しようとする目的に照らして、総合的に考察して判断すべきとされた事例
(4) 海外利用特約の有効性
会員規約の海外利用分の円換算法を記載した規定内容が有効とされた事例
(5) 会員規約の変更の合理性
会員規約の変更が合理的と認められた事例

第Ⅱ章 クレジット取引における紛議と抗弁等の可否
1 名義貸しと取消しの抗弁
名義貸しを依頼するにつき、告げた内容が購入者の判断に影響を及ぼすことになるものに当たるときは、契約の取消しが認められるとされた事例/契約名義を貸した者が、経済的利得等を理由に取消しの抗弁を認められなかった事例
2 加盟店のクレジット会社に対する契約上の責任
紛争解決義務を果たさなかった加盟店に重畳的債務引受が認められた事例/下取代金の未清算に対し、販売店の相殺の主張が認められなかった事例/ネットオークションでの現状有姿販売した車両に、メーター巻き戻しの事実があったことを、隠れた瑕疵として損害賠償請求が認められた事例
3 抗弁権の主張が認められる範囲
銀行の目的ローンを信販会社が保証している場合に顧客の抗弁権が認められなかった事例/割賦販売法の適用のない取引で抗弁権が認められるには、あっせん業者に帰せしめるのを信義則上相当とする特段の事情が必要とされた事例/個人事業主でも、クーリング・オフが認められた事例

第Ⅲ章 後払決済サービスに係る債権管理
1 支払の請求と訴訟手続
商号の続用に係る会社法の規定により事業の譲渡を受けた会社に支払責任が認められた事例/妻が契約したクレジット代金を夫に請求できる日常家事債務とした事例/保証契約の内容を了知したうえで、指示ないし依頼して署名ないし記名押印の代行をさせることにより、書面を作成した場合、保証契約が有効となるとされた事例/購入者が、販売店に弁済受領の代理権があると信じたことに過失がなく、債権の準占有者に対する弁済として有効であるとした事例
2 訴訟手続と無効
合意管轄裁判所を定める条項が、無効条項ではないとされた事例/転居先不明の債務者に対する公示送達が、判決後に無効になった事例/クレジット会社による訴訟提起に不法行為性があるとされた事例/認定司法書士の裁判外の代理権限は簡裁民事訴訟手続と同じ範囲であるとして、これを超える場合の代理はできないとされた事例
3 債権差押えと取立権
先日付で立替金を振り込んだ後に、支払日前に加盟店のカード代金請求権の差押命令が到達した場合に、支払ずみとして差押命令に対抗できず、組戻しすべきとされた事例/生命保険の解約返戻金請求権を差し押さえた債権者により解約が認められた事例/自動車保険の解約返戻金の差押債権者の取立権に基づく解約権が認められなかった事例
4 支払停止・破産債権届出・免責
弁護士からの破産手続の明記のない「債務整理通知」が黙示の支払停止の表示とされた事例/立替金債務の弁済が延滞に陥ることの明白な状態のもとにされたカードの利用が、不法行為を構成し、非免責債権とされた事例/主債務者の破産手続中に保証人から一部弁済がなされても、求償債権としての予備的債権届出は認められず、債権者への超過配当が認められた事例
5 弁護士照会・文書提出命令
加盟店の苦情内容を記載した書面の一部につき、文書提出命令が認められた事例/弁護士会からの23条照会に対する回答拒否に賠償責任が認められなかった事例

第Ⅳ章 カード情報と個人情報をめぐる問題
1 カード情報の漏洩と責任
カード情報漏洩におけるシステム開発会社の責任が認められた事例/未成年の子の氏名と性別、生年月日、住所、電話番号と保護者としての氏名は、プライバシーに係る情報として法的保護の対象となるとされた事例/カード情報の漏洩におけるインターネット加盟店の損害賠償責任が認められた事例
2 カード情報の窃盗と賠償責任
クレジットカード情報の窃盗犯にクレジットカード会社への賠償責任が認められた事例
3 信用情報機関の信用情報の保存
時効消滅した債務の延滞記録につき、信用情報機関における所定の保有期間内の登録の継続が認められた事例

著者紹介

吉元 利行(よしもと としゆき)
昭和53年九州大学経済学部卒業。九州大学法学府大学院後期博士課程単位取得退学。九州大学 博士(法学)。
株式会社オリエントコーポレーションの法務部門に30年従事し、割賦販売法、貸金業法、特定商取引法、特定債権法、SPC法、サービサー法、民事再生法、信託法、電子記録債権法、資金決済法などの立法や改正に法制審議会臨時委員、産業構造審議会臨時委員、全国信販協会法制部会長、日本クレジット産業協会法制委員、経営法友会幹事などの立場で関与。同社執行役員法務部担当を経て、平成20年から平成30年まで株式会社オリエント総合研究所にて、専務取締役兼主席研究員。平成30年から現代ビジネス法研究所代表、平成31年から株式会社ジンテック シニアアドバイザー。著書に、いずれも共著で『リース・クレジットの法律相談』『クレジット取引―改正割賦販売法の概要と実務対応』(以上、青林書院)、『パーソナルファイナンス研究の新しい地平』(文眞堂)、『キャッシュレス社会と通貨の未来』(民事法研究会)、『〔新訂〕貸出管理回収手続双書 貸出管理』『印鑑の基礎知識』『金融機関の法務対策5000講』(以上、金融財政事情研究会)などがある。