デジタル化する世界と金融―北欧のIT政策とポストコロナの日本への教訓

デジタル化する世界と金融―北欧のIT政策とポストコロナの日本への教訓

定価:2,800円+税

編・著者名:中曽 宏[監修]/山岡 浩巳・加藤 出・長内 智[著]

発行日:2020年09月10日

判型・体裁・ページ数:A5・並・340ページ

ISBNコード:978-4-322-13558-9

書籍紹介

◆スウェーデンではキャッシュレス化、フィンランドではMaaS(Mobility as a Service)の動向、そしてエストニアでは電子政府の実情に照準した、金融・市場エキスパートならではの迫真の現地レポート。
◆「北欧フィンテック・キャッシュレス視察団」(金融財政事情研究会主催)がみたのは、デジタル化によって社会の広範な領域で進展する劇的な変化だけではない。若い起業家たちのエネルギーが改革の推進力となる一方、彼らの活動を、政府や議会が良き理解者として透明性が高く柔軟な制度運営により支える、相互の信頼関係に基づく「イノベーション立国」に向けたモメンタム。
◆キャッシュレス化、オンラインによるリレーション・マネジメントが進展する北欧のDXから、否応なくポストコロナ期に突入した日本、なかでも金融産業へのインプリケーションを探る。

主要目次

序 章 新たな金融産業の構築に邁進するダイナミズム
フランクフルトのスウェーデン人/日本経済の構造的問題と課題/スウェーデンの金融経済危機/国家戦略としてのIT産業育成/北欧は日本のモデルになるのか/コロナショックに見舞われた世界経済/ポストコロナの世界で鍵を握るIT力/教育の重要性/日本の将来の金融産業像/本書の構成/謝辞

第1章 スウェーデン
    世界最先端のキャッシュレス社会
1 総論─デジタル・トランスフォーメーション実現の“秘訣”
いまや銀行強盗は絶滅危惧種/「仕事はsuper fun !」人員削減下でも活気あふれる銀行員/現金を持ち歩かなくなった人々、現金を受け付けない銀行/増加する「現金お断り」の商店、飲食店/教会も苦渋の完全キャッシュレス化/「札勘」に不慣れな銀行員/現金拒否のスパイラル 若い世代に現金は、“so uncool”/世論調査・統計からみたキャッシュレス化の影響/QRコード式かそれともカードか?/強盗が減ったかわりにスキミング・リスクが台頭/他国と比較したスウェーデンのキャッシュレス状況/キャッシュレス化を背後でサポートしてきたものは?/キャッシュレス決済を銀行が勝ち取ることができた理由/高齢者団体等の反発が政府・議会を動かす/「現金お断り」を許容してきた従来のスウェーデンの法律/年金生活者団体が猛抗議「No cash, No customer」/大手行の現金サービス維持を義務づける新法が成立/戦争、テロ、自然災害の観点から現金保有を推奨する政府/高齢化、災害多発の日本は焦らずにキャッシュレスに取り組むべき
2 ケーススタディ
Swish/Klarna/InnoBRIDGE/Nordea銀行/SEB/Riksbank

第2章 フィンランド
    世界一幸福で起業意識の高い「森と湖の国」
1 総論─最先端を走るMaaSを生んだ「起業立国」のかたち
なぜいま、世界から熱視線が注がれているのか/大国に挟まれた歴史も映す多言語教育/世界一幸せで男女平等な国/MaaS先進国にみる将来のモビリティ像/厳しい気候が生んだ全天候型の自動運転バス/起業家たちのルーツは、巨大企業ノキア/なぜ若者の起業意識が高いのか/北欧リカレント教育先進国の一翼担う/キャッシュレス化でも現金流通残高は大きく増加/ATM共通化/Sensible 4/ePassi

第3章 エストニア
    電子国家化とオープン化こそが生き抜く道
1 総論─広範なプロセスを電子化しデータを活用するe-Estonia
小国がたどった苦難の歴史/独立回復と電子立国の決意─これしかない!/「われわれは欧州の一員」─経済のオープン化/人材こそ宝!─早期のIT&語学教育は当たり前にみる金融インフラの効率化/口座維持手数料と預金金利のゼロ制約/PSD2はゲーム・チェンジャーになるのか?/制度面の注目点と銀行員像の変化/インバウンド需要と中国企業の接近
2 ケーススタディ
フィンランド銀行/ビジネス・フィンランド/ヘルシンキ・フィンテック・ファーム/海外諸国との複雑な関係のなかを生き抜く/行政手続の99%をデジタル化/必要なカードはこれ1つ─電子IDカード/すべてを支えるデータ共有基盤/すべてを“e”! すべてをデジタル!/経済のオープン化と電子居住権(e-Residency)/金融セクター─チャレンジャーバンクとネオバンク
2 ケーススタディ
LHV/Monese/Veriff/Bankish/ファイナンス・エストニア

第4章 金融は“Super Fun”(超楽しい!)
    日本へのインプリケーション
北欧にみたこれからの金融

著者紹介

中曽 宏(なかそ ひろし))
株式会社大和総研理事長。東京国際金融機構(FinCity. Tokyo)会長。
1978年日本銀行入行。97年信用機構課長、2003年金融市場局長、08年に日本銀行理事。13年日本銀行副総裁に就任。
バブル崩壊後の日本の金融システム不安に対処したほか07~09年の国際金融危機時には各国中央銀行と協調して収拾にあたった。
国際決済銀行(BIS)市場委員会、指標金利に関するBIS・経済諮問委員会ワーキンググループおよびG20コモディティ・スタディグループ等の議長を歴任。
18年大和総研理事長就任(現職)。19年東京国際金融機構(FinCity. Tokyo)会長就任。
山岡浩巳(やまおか ひろみ)
フューチャー株式会社取締役。ニューヨーク州弁護士。
2007年IMF理事代理、12年バーゼル銀行監督委員会委員、13年日本銀行金融市場局長、15年同決済機構局長。『国際金融都市・東京 構想の全貌』(小池百合子氏らと共著)、『情報技術革新・データ革命と中央銀行デジタル通貨』(柳川範之氏と共著)、『金融の未来』など。
加藤 出(かとう いずる)
東短リサーチ株式会社代表取締役社長・チーフエコノミスト
1988年東京短資入社。2002年東短リサーチ取締役。13年より現職(東京短資執行役員兼務)。『バーナンキのFRB』(共著)、『日銀『出口』なし!』、『東京マネーマーケット 第8版』(編集代表)など。
長内 智(おさない さとし)
株式会社大和総研主任研究員。
2006年大和総研入社(金融資本市場担当)。08~10年大和証券に出向。12~14年内閣府参事官補佐として経済財政白書、月例経済報告などを担当。14年大和総研に帰任(日本経済担当)、18年より現職(金融資本市場担当)。『トランプ政権で日本経済はこうなる』(共著)など。