地域金融機関のためのRAF構築

地域金融機関のためのRAF構築

定価:1,650円(税込)

編・著者名:大野 博堂[編著]/池田 雅史/田中 公義/山本 邦人[著]

発行日:2020年06月30日

判型・体裁・ページ数:A5判・上製・136ページ

ISBNコード:978-4-322-13531-2

書籍紹介

RAFは、なぜ役に立ちそうにないのか?

 金融庁が2019年に公表した「健全性政策基本方針」および「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」のなかで、健全性の評価に関する当局との対話および、経営戦略・計画のPDCAを回す際の方法として、リスク・アペタイト・フレームワークの活用に言及したことで、地域金融機関にもRAF導入の機運が高まっている。だが…

経営管理の枠組みとしてRAFが役に立ちそうなことは理解できる。しかし、いざ実際に構築する場合、先行するメガバンクとは、ビジネスモデルが大きく異なり、ひいては資本配分や収益最大化を含むリスクテイク方針が違いすぎるために、手本にしにくい。経営コンサルも、市場リスクや財務リスクなどについては詳しくても、金融機関全体が受け入れるべきリスクの種類と総量の話になると、頼りにならない。このまま導入しても、従来の統合リスク管理を呼び変えるだけでお茶を濁すことになりそう…。

 本書は、こんな地域金融機関の悩みにこたえ、自行庫の業務の規模・特性とそれに伴うリスク・プロファイルをふまえた、「モディファイドRAF」構築の方法論を示す。対象を全社的な財務リスクと非財務リスクに分け、とくに後者では、自然災害等によって顧客が被る損害を、地域金融機関自身のリスクとしてとらえることの重要性を説く。
 新型コロナウィルスの感染拡大を受け、営業自粛・操業停止の荒波が全国の企業を襲うなか、地域金融機関が事業計画と戦略を見直していく際の視点を示す一冊。

主要目次

序章 地域金融機関にとってのRAF
(1) 統合リスク管理とはどこが違うのか
(2) グローバルバンク向け枠組みを“直訳”することの限界
(3) 2019年改正監督指針に初登場
(4) 地域金融機関にとって重大な地域・顧客リスト
(5) 共同化によりコストメリットを実現
第1章 RAFの正体
1 金融危機後に登場した経営管理の枠組み
(1) 進んでリスクを取る
(2) システムも内包する全体的アプローチ
(3) 顧客等の視点が不可欠
(4) 戦略と整合的である
2 日本におけるRAFへの取組み
第2章 地域金融機関にとってのRAFの課題
1 そもそもの解釈が難解
2 事業モデル適合性に対する疑問
(1) 地元・地域へのインパクト
(2) 特定事業・リスクへの依存度合いの上昇
【BOX】RAFでみたメガ等大手と地域金融機関
3 構築・運営の負荷
(1) 横の連携
(2) 縦の連携
(3) 斜めの連携
第3章 モディファイドRAFの構築
1 再考 地域金融機関を取り巻くリスク
2 モディファイドRAFの構築
(1) 解釈
(2) 事業モデルへの適合
(3) 構築・運営の負荷
第4章 非財務リスクへの対応
1 非財務リスクの分類
2 主要な非財務リスクへの対応
(1) システムリスク
(2) マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与のリスク
(3) 事務リスク
(4) 新たなリスク分類・リスク管理の視点
第5章 モディファイドRAFの構築に向けた視点
1 オペレーションからみたモディファイドRAFの全体像
2 業界団体を中心としたリスク管理態勢のスケルトン共通化
3 リスク管理における顧客視点の導入