金融システム批判・序説―脅かされる市民投資家の年金とオーナーシップの復活

金融システム批判・序説―脅かされる市民投資家の年金とオーナーシップの復活

定価:3,300円(税込)

編・著者名:ステファン・デイビス/ジョン・ルコムニク/デイビッド・ピットワトソン[著]奥野一成/杉山修司/花岡博[訳]

発行日:2020年04月01日

判型・体裁・ページ数:四六判・並製・444ページ

ISBNコード:978-4-322-13454-4

書籍紹介

金融機関が「顧客本位の業務運営」をしないことには合理的な理由があった!!

◆貯蓄者・投資家と投資先企業の間に介在する金融仲介の連鎖(インベストメント・チェーン)のなかで、金融機関が最終受益者の利益ではなく、金融業界自身の利益を追求してしまうメカニズムを明らかにした問題提起の書。
◆年金基金、投資信託など機関投資家のガバナンスにも鋭いメスを入れ、長期にわたるリターンを必要とする老後に向けた貯蓄者・投資家のオーナーシップを復活させるために、多方面にわたる処方箋を提示。
◆フィデューシャリー・デューティー(受託者責任)、スチュワードシップ(機関投資家による投資先企業との建設的な対話)、ESG(環境・社会・ガバナンス)などが脚光を浴びる理由を理解するためにも必読。

髙橋則広氏(年金積立金管理運用独立行政法人GPIF理事長)ご推薦
「上場企業の究極のオーナーはわれわれである」
長期的運用成績をいかに向上するかに日々悩んでいる立場の私としては、まさに「わが意を得たり」という思いを強くする。

主要目次

序章 われわれは資本の提供者である
第1章 金融システムはなんのために存在するのか
まとめ
第2章 狂ったインセンティブ
専門家という名の暴君たち
金融取引のからくり
平均のトリック
予測は完璧という狂った数理モデル
でたらめの分散投資
だれのための運用成績か
スピードが殺す
不透明さ
次のよいアイデアも悪い結果を生むかもしれない
水面下の改革は一筋の光明
常識を働かせよう
まとめ
第3章 オーナーシップの復活
どのようにしてオーナーシップが失われたのか
銀行をあてにしてはいけない
受託者資本主義(エージェンシー・キャピタリズム)
「金融の大量破壊兵器」
解決策:資本主義にオーナーシップを再び吹き込む
将来へ向けて
まとめ
第4章 私のお金ではやめてくれ
情報の空白
データ収集者たち
ファンドのガバナンス
解決策の探究
まとめ
第5章 新たな規制の配置
規制はなんのためにあるのか
今日、規制はどのように行われているか
よりよいアプローチ:「全体的な規制」
三つの重要な規律
よりよい規制
全体的な規制を実現する
まとめ
第6章 女王陛下の質問
伝統的な経済理論の歴史
目的をもった経済学
何が不足しているのか
リスク管理におけるギャップ
みえないゴリラ
新たな金融論のカリキュラム
人間のモチベーションと行動
経済的な制度
なぜ経済学を再考することが大切なのか
実現させよう
まとめ
第7章 国民のための年金、常識にのっとった銀行
退職に向けた貯蓄
常識にのっとった年金の小史
国民の年金
常識にのっとった銀行
フードの下をのぞいてみる
なぜ間違った方向に進んでしまうのか
まとめ
第8章 資本主義──われわれ資本の提供者のためのマニュアル
トラブル・シューティング
投資家である市民のための「マグナ・カルタ」