定価:1,815円(税込)
編・著者名:都井 清史 著
発行日:2018年07月18日
判型・体裁・ページ数:四六・並製・248ページ
ISBNコード:978-4-322-13285-4
種類株式が同族株主間の揉め事を解決する力をもつかどうかは「料理人」の腕次第、使い方によって毒にも薬にもなる!!
◆100%オーナー会社における株式の相続は、「少数株主」を生み出します。これにより、会社では新たに「株主対策」が必要になります。事業承継後の会社の円滑な運営を可能とするために、ガバナンス体制を整える(取締役会の設置や監査役の業務範囲拡大)、会社が少数株主から株式を買い取る、少数株主の議決権に制限を加えるなどの工夫が必要になります。
 ◆会社が権利内容の異なる複数種類の株式を発行する場合、その株式を「種類株式」と呼びます。本書は、中小企業オーナーの相続の場面を念頭に置いて、少数株主対策のために種類株式をどのように活用できるかをわかりやすく解説します。
 ◆たとえば、少数株主の株式を議決権制限株式とするのであれば、株主からの取得請求・換金を可能にするなどバランスをとらなければ、少数株主には不満が残ります。また、役員選任権付株式、拒否権付株式などの強力な権利をもった株式を発行する場合には、その株式が第三者の手に渡らないような手立てを講じる必要もあります。
 ◆さらに本書は、中小企業が実際に種類株式を導入できるよう、種類株式の新規発行や既存株式の権利内容の変更にはどのような手続が必要になるのか、税務上の評価方法はどのようになるのかなどについても、ていねいに解説しています。
第1章 会社法と少数株主対策
 1 会社法の基本理念と少数株主権の拡充
 2 株式会社の機関設計
 第2章 具体的な少数株主対策とその限界
 1 金庫株による事業承継対策
 2 金庫株の取得
 3 少数株主対策の重要性
 4 具体的な少数株主対策
 5 少数株主をなくす方法
 第3章 種類株式の概要
 1 種類株式とはどのようなものか
 2 種類株式の種類と実務
 3 種類株式の発行手続
 4 種類株式のデメリット
 第4章 優先株式・劣後株式の活用法
 1 優先株式・劣後株式とは何か
 2 配当優先株式の定め
 3 参加型と非参加型優先株
 4 累積型と非累積型
 5 相続税法での評価について
 6 配当優先株式の限界について
 第5章 議決権制限株式の活用法
 1 議決権制限株式とは
 2 事業承継への活用
 3 議決権制限株式の発行方法
 4 ベンチャーキャピタルへの活用
 5 合弁会社への活用
 6 単独株主や少数株主への配慮
 7 同族会社について
 8 議決権制限株式の所有者がもつ拒否権について
 9 ケース・スタディへの当てはめと相続税法上の評価額
 第6章 譲渡制限株式の活用法
 1 譲渡制限株式とは
 2 譲渡を承認する機関
 3 種類株式の組合せ
 4 先買権者・買受人の指定
 5 譲渡制限株式の発行方法
 6 譲渡制限株式の譲渡の承認
 7 譲渡制限株式の限界
 8 ケース・スタディへの当てはめ
 第7章 取得請求権付株式の活用法
 1 取得請求権付株式とは
 2 事業承継対策での活用
 3 ベンチャーキャピタルへの活用
 4 第三者割当増資への活用
 5 従業員持株会への活用
 6 取得請求権付株式の発行方法
 7 株式の買取価額の問題
 8 取得請求権の対価の種類
 第8章 取得条項付株式の活用法
 1 取得条項付株式とは
 2 事業承継における活用
 3 資金調達における活用
 4 株式上場時の活用
 5 従業員持株会での活用
 6 取得条項付株式の発行方法
 7 取得条項付株式の取得方法
 第9章 全部取得条項付株式の活用法
 1 全部取得条項付株式とは
 2 100%減資での活用
 3 全部取得条項付株式の利用の手順
 4 少数株主対策での活用
 第10章 拒否権付株式の活用法
 1 拒否権付株式とは
 2 事業承継での活用
 3 拒否権付株式のリスク対策
 4 ベンチャーキャピタルへの活用
 5 合弁会社への活用
 6 所有と経営の分離への活用
 7 買収防衛策としての活用
 8 拒否権付株式の発行方法
 9 税法での評価について
 第11章 役員選任権付株式の活用法
 1 役員選任権付株式とは
 2 事業承継での活用
 3 通常の役員選任・解任での活用
 4 ベンチャーキャピタルへの活用
 5 合弁会社への活用
 6 資本提携等での活用
 7 役員選任権付株式の発行方法
 第12章 株主ごとに異なる定めの活用法
 1 株主ごとの異なる定めとは
 2 属人的株式の発行方法
 3 税務上の留意点
 第13章 平成19年度税制改正における種類株式の評価
 1 無議決権株式(第一類型)の評価について
 2 配当優先の株式(第一類型)の評価について
 3 社債類似株式(第二類型)の評価について
 4 拒否権付種類株式(第三類型)の評価について
都井 清史(とい きよし)
 1960年3月1日生まれ(兵庫県伊丹市出身)
 1983年神戸大学経営学部会計学科卒業
 1988年公認会計士都井事務所を設立
 2005年税理士登録
 [著書]
 『KINZAIバリュー叢書 粉飾決算企業で学ぶ実践「財務三表」の見方【増補改訂版】』
 『コツさえわかればすぐ使える粉飾決算の見分け方(第3版)』
 (以上、金融財政事情研究会)
 『図解 超わかるキャッシュ・フロー(第2版)』(銀行研修社)
 『新公益法人の会計と税務』(学陽書房)
 『新公益法人の制度・税務・会計』(学陽書房)