企業価値とオプション評価のロジックと実務―基礎的手法・数理・法務のすべて

企業価値とオプション評価のロジックと実務―基礎的手法・数理・法務のすべて

定価:2,500円+税

編・著者名:神田 秀樹・太田 洋子・阿久澤 利直[著]

発行日:2019年11月13日

判型・体裁・ページ数:A5判・並製・232ページ

ISBNコード:978-4-322-13278-6

書籍紹介

企業価値とオプションの評価に関する理論と実際を、豊富な事例をもとに解説

  • 第1章(基礎的手法)では、DCF法やEconomic Profit法(EP法)を用いたインカム・アプローチ、同業他社との相対比較により価値評価を行うマーケット・アプローチなどの基礎的な手法の仕組みと、実務への応用事例を解説
  • 第2章(数理)では、オプションの価値の評価について、日常で起こり得る「現実的な問題」をもとに、「数学的な問題」への変換の手法と問題の解き方を詳説
  • 第3章(法務)では、会社法の観点から、企業価値の評価、オプションの評価をどのように考えればよいか、判例を示しながら具体的に論述

野村證券 金融工学研究センターの研究員と法学者のコラボレーションで、既存の実務に新たな光を当てる!

主要目次

第1章 企業価値評価

  • ① 企業価値評価の基礎
    (1) 企業価値評価の体系/(2) マーケット・アプローチによる企業価値評価~マルチプル法/(3) インカム・アプローチによる企業価値評価/(4) 資本コストの推計/(5) 非財務情報と企業価値評価
  • ② 企業価値評価の実務的応用
    (1) 将来キャッシュフローの推計/(2) 資本コスト推計の実務/(3) 企業価値評価の実際

 第2章 オプション評価の概念レイヤーとロジック

  • ① 選択権の価値を評価するということ
    (1) 日常におけるオプショナリティ/(2) 市場におけるオプション/(3) 選択肢の実効性について/(4) オプションとデリバティブ/(5) オプションを売買する場が存在することの意義/(6) 進化的な安定性という観点からの注記
  • ② オプション評価の概念レイヤー:「現実の問題」はどのように「数学問題」に変換され、どのように解かれるのか?
    (1) ブラックボックスとしてのBlack-Scholesオプション評価フレームワーク/(2) ブラックボックスのなかの概念レイヤー見取り図/(3) 「現実の問題」の例/(4) 数学問題としての定式化(工程1)/(5) 数学問題の求解(工程2)/(6) 「モンテカルロで解いた」と表明することの意味/(7) 数値計算を正しく実行すること
  • ③ BSフレームワークを受け入れるべき(よく知られているのとそうでもないかもしれない)2通りの根拠
    (1) ジャスティフィケーション①:BS理論価格はデルタヘッジによる裁定取引の余地を与えない/(2) ジャスティフィケーション②:BS理論価格はリスクに見合ったリターンを実現する/(3) なぜ、最終結果は期待成長率にはよらないのか? どうしてボラティリティには依存するのか?
  • ④ CBや転換型種類株式の評価フレームワーク
    (1) オプションとして評価する立場からみたCBと転換型種類株式の特徴/(2) クレジットを考慮できるBlack-Scholes with jump to defaultフレームワーク/(3) BSフレームワークとBSDフレームワークの関係
  • ⑤ よくある質問
    (1) ヘッジできない場合でも、本稿の議論は成り立つのか?/(2) 企業価値評価とオプション評価の関係は?/(3) オプション評価では(企業価値評価では必要な)リスクプレミアムをインプットとして与える必要はないのか?/(4) オプション評価では株価成長率を与えてやる必要はないのか?/(5) 株価成長率が高い場合、オプション価値も高いはず?/(6) リスクプレミアムを明示的に取り扱わなければならないケース
  • 補論1 株カレントイールドについて
    (1) 将来もらえる株の現在価値はどのようであるべきか?/(2) 1年後に確実に1円もらえる権利の現在価値をBSフレームワークで評価/(3) 1年後に1株もらえる権利の現在価値をBSフレームワークで評価
  • 補論2 ツリーモデルによるオプション評価の詳細
    (1) ヨーロピアン・コール・オプションの3項ツリーによる評価/(2) アメリカン・オプションの場合
  • 補論3 数値解法選択と数値誤差
    (1) ボラティリティについて/(2) ストック・オプションのヨーロピアン・オプション近似による評価/(3) CB評価と数値誤差
  • 補論4 BSフレームワークの数学的導出
    (1) ロジック①に基づくBSフレームワークの導出/(2) ロジック②に基づくBSフレームワークの導出
  • 補論5 CB・転換型種類株式のさまざまな条項と評価
    (1) コール条項/(2) プット条項/(3) 転換価額修正(リセット)条項

第3章 会社法における企業価値の算定・新株予約権の価値の算定

  • ① 会社法における企業価値の算定と株式の価値の算定
    (1) 企業価値の算定と株式の評価/(2) 募集株式の発行等に関する会社法の規律/(3) 新株の有利発行に関する規制/(4) 株式買取請求権が行使された場合における公正な価格の算定/(5) キャッシュアウトにおける価格の算定/(6) 小括にかえて
  • ② 会社法における新株予約権と新株予約権付社債の価値の評価
    (1) 新株予約権とは/(2) 新株予約権の価値の評価/(3) 小括にかえて

著者略歴

神田 秀樹
学習院大学大学院法務研究科教授、東京大学名誉教授。
東京大学法学部卒業。1993年から東京大学大学院法学政治学研究科教授。2016年に東京大学を退職。専攻は、商法、金融法、証券法。主著として、『会社法(第21版)』(弘文堂、2019年)、『会社法入門(新版)』(岩波新書、2015年)、『金融商品取引法概説(第2版)』(共編著、有斐閣、2017年)、『The Anatomy of Corporate Law(3rd ed.)』(共著)(Oxford University Press, 2017)など。

太田 洋子
野村證券株式会社金融工学研究センター長兼クオンツ・ソリューション・リサーチ部長、マネージング・ディレクター。
慶應義塾大学経済学部卒業後、野村総合研究所(NRI)入社。アジア株価指数開発、機関投資家向け株式運用コンサルティングを経て、1998年より現職。日本企業が抱える様々な課題に対して金融工学をベースとしたソリューションの提供およびコンサルティング活動に従事。2015年より金融工学研究センター長として、人工知能を活用したビッグデータ解析など先端R&D推進を担当。
共著に『株式運用と投資戦略』(きんざい)、『企業価値向上の財務戦略』(ダイヤモンド社、不動産協会優秀著作奨励賞受賞)、『企業価値向上の事業投資戦略』(ダイヤモンド社、第5回M&Aフォーラム正賞受賞)など。日本価値創造ERM学会副会長。

阿久澤 利直
野村證券株式会社クオンツ・ソリューション・リサーチ部マネージング・ディレクター。
東京大学教養学部教養学科卒業、東京大学大学院理学系研究科(物理学専攻)博士課程修了。博士(理学)。理化学研究所を経て、2002年野村證券入社。転換社債の社内公式評価モデルをスクラッチから構築するなどのデリバティブ・クオンツ業務に従事した後、現在は新しい調達手法の開発支援、定量面からのM&A支援、事業会社、金融機関に対する財務コンサルティングなどを、デリバティブに加えてコーポレート・ファイナンス、データ解析の専門知識も活用して、行っている。
共著に『最新金融工学に学ぶ資産運用戦略』(東洋経済新報社)、『臨時別冊・数理科学 独立成分分析~多変量データ解析の新しい方法~』(サイエンス社)。