価値の探究者たち

価値の探究者たち

定価:2,750円(税込)

編・著者名:Ronald W.chan(著)、山本御稔・小林真知子(訳)

発行日:2017年01月06日

判型・体裁・ページ数:A5・上製・304ページ

ISBNコード:978-4-322-13026-3

書籍紹介

 株式投資を志すファンドマネジャー、株式取引に携わる金融マン、株主との対話に臨む企業経営者など株式市場の役割に関心をもつすべての人々に送る、日米欧アジア12人の「バリュー投資家」からのメッセージ!

◆株式投資の諸流派のなかに、ひときわ異彩を放つ「バリュー投資」(value investment)という一派がある。『証券分析』の著者ベンジャミン・グレアムを祖として1920年代のアメリカで生まれ、ウォーレン・バフェットというスターを生んだ。本書はグレアムやバフェットと同じ時代を生きたウォルター・シュロス、アービング・カーンをはじめ、長年にわたって卓越した業績を残した日米欧アジア12人のバリュー投資家へのインタビューを通じ、バリュー投資家の生きざま、人間性、投資哲学を浮き彫りにしている。
◆「バリュー投資」とは、「株価が本質的な価値を大幅に下回る株式を購入し、株価に本質的価値が反映されるまで保有し続ける」手法である。株式は企業のビジネスの価値を体現し、企業価値の算定については多くの洗練された手法がある。しかし、驚くべきことに、本書に登場するバリュー投資家のなかにそうした数量的な手法に依存する者はいない。「価値」のとらえ方は、あくまで投資家独自のものである。そして、その独自にとらえた価値が現実の株価に反映されるまで、ときには10年以上にわたって株式の長期保有を続けるのだ。
◆効率的市場仮説、短期的な株価の変動を収益源とする高頻度取引、人工知能を活用した銘柄選択などが脚光を浴びる現在、バリュー投資家は特異な存在かもしれない。しかし、彼らは生き残り、優れた業績をあげ続けている。株式市場が企業の本質的な価値を見出し、リスクマネーを供給するという本来の機能を果たすために、バリュー投資家という存在が必要なのだ。バリュー投資家の実像を知ることは、株式投資家のみならず株式市場の役割に関心をもつすべての人々に対してなんらかのヒントを与えてくれる。

主要目次

第1章 バリューランドの選択の自由
ウォルター&エドウィン・シュロス・アソシエーツ ウォルター・シュロス
大恐慌を生き延びて/生き残ることの意味/ネット-ネット/心地よいペース/汝自身を知れ

第2章 むかしむかしウォールストリートでのお話です
カーン・ブラザーズ・グループ アービング・カーン
グレアムの弟子になる/バリューの伝道師/100年生きた長寿の食事

第3章 逆張り投資家登場
カーン・ブラザーズ・グループ トーマス・カーン
修正版グレアム・アプローチ/はっきりしない株のケース/マーケットについての考察

第4章 巨人の肩の上に乗って
トゥイーディー、ブラウン・カンパニー ウィリアム・ブラウン
価値ある遠回り/数量分析を超えて/グローバル・スタンダードをつくる/投資の社会科学/マーケットより一歩先を進む

第5章 バリュー宇宙の中心への旅
ファースト・イーグル・ファンズ ジャン・マリー・エベヤール
涙の谷/非効率的なマーケット/バリューの本質/ノーという勇気/防御策を求めて

第6章 独学のスペイン人バリュー投資家
べスティンバー・アセット・マネジメント フランチェスコ・ガルシア・パラメス
たった一人のバリュー探索/投資をシンプルにする/オーストリア学派とマーケット/グローバル・リバランス

第7章 インカムにこだわるイギリス人
ジュピター・アセット・マネジメント アンソニー・ナット
ビクトリア朝時代のマインドセット/正しい投資文化を求めて/インカムのみを信じて投資する/進み続ける勇気

第8章 旅するバリュー投資家
テンプルトン・エマージング・マーケッツ・グループ マーク・モビアス
行間を読むように“心間”を読む/大胆に、そして緻密に考える/ピンチはチャンス/市場の動きを感じる

第9章 バリューを求めるビジネスマン
ターゲット・アセット・マネジメント ティング・イック・リーエン
数字を学ぶ/逆張りの技法/アジアのグッドビジネスをねらう/バリュエーションの相対性理論/バリューあるライフスタイル

第10章 失われた10年のバリュー投資
スパークス・グループ 阿部修平
ミュージカルが始まった/言葉の壁を越えて/西洋から学ぶ/スパークスの進化/アジアの西洋化/バリューを求めて

第11章 太陽のように永遠に輝くバリューの心
バリュー・パートナーズ・グループ ヴィーニー・イェ
広がる学問的興味/満足できる価格を求めて/バリュー投資のパートナーを見つける/バリュー・マインドの発掘/バリューのある男になる

第12章 偶然が生んだバリュー投資家
バリュー・パートナーズ・グループ チア・チェング・フイェ
趣味の店、開業/亜細亜山バリュー寺を建立する/工業化プロセスという考え方/バリュー投資の進撃は続く

第13章 バリュー投資家ができるまで
謙虚な姿勢でポートフォリオの構築に臨む/バリュエーションの技法/投資アイデアのための読書/ファンダメンタルズを超えて/投資を終えるタイミング/バリュー投資との相性

著者紹介

ロナルド W.チャン(Ronald W. Chan)
香港を拠点とする資産運用会社チャートウェル・キャピタル・リミテッドの創設者。アジア太平洋地域の金融の専門紙や雑誌に多くの寄稿をしている。また、『バフェット合衆国―世界最強企業バークシャー・ハサウェイの舞台裏』(パンローリング刊)の著者でもある。ニューヨーク大学スターン・スクールで、ファイナンスと会計の学位を取得。自らの投資家としての人生に疑問をもったことが、本書執筆のきっかけになった。