数理ファイナンスの歴史

数理ファイナンスの歴史

定価:5,500円+税

編・著者名:櫻井豊 著

発行日:2016年04月12日

判型・体裁・ページ数:A5判・上製・568ページ

ISBNコード:978-4-322-12862-8

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書籍紹介

著者の略歴

櫻井 豊(さくらい ゆたか)   
早稲田大学理工学部数学科を卒業後、1986年に東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。2000年にソニーのネット銀行設立準備の一員となり、ソニー銀行執行役員市場運用部長などを経て2010年よりリサーチアンドプライシングテクノロジー(RPテック)取締役。1993年~2000年にかけてロンドンで金利・通貨デリバティブのトレーダーを務め、特に円金利オプションの中心的マーケットメーカーと称された。日本アクチュアリー会準会員、著書に「時価革命と金融工学」(ISコム)がある。   

書籍紹介及び目次抜粋

理論とマーケット、危機と規制が糾う革新と挑戦の金融工学クロニクル   
本書の特徴   
  1. 「歴史」という視点で、数理ファイナンスの基本的原則が確立された過程、ならびにそれが未曾有の危機を引き起こしたプロセスと要因を克明に分析。   
  2. 1900年のルイ・バシュリエの論文から、規制当局の最新動向まで、数理ファイナンスの理論、事件、規制に関する重要な事象を網羅。   
  3. 金融工学、一般均衡理論、MM理論、ポートフォリオ理論など、広範囲な領域の主要な理論を取り上げ、それらの相互の関係を明解に示す。   
  4. 数理ファイナンスの基本的な原則の内容と意味について、表面的・形式的・教科書的な説明でなく、その本質を丁寧に説明。   
  5. 証券化商品とクレジット・デリバティブ、およびそれらが引き起こした金融危機については、その内容だけで別の単行本にできるほど詳説。   
  6. 数理ファイナンスの重要な論文や歴史における重要な文献など多くの一次資料を紹介しながら、それらに基づき歴史や原理を解説。   

市場関係者にとって参照しやすいモデル・ガイドとして、また、最先端技術を成立背景から理解できる読み物として比類なき一冊!   

●主要目次●   
第1章 数理ファイナンスの歴史(概要)   
1.1 市場の歴史と科学的分析の始まり(パリの不遇の天才)/1.2 1950年代から60年代:一般均衡理論とファイナンス理論の展開/1.3 数学、統計、物理と効率的市場仮説/1.4 CAPMとギャンブルの世界がヒントになった最後の1ピース/1.5 ブラック・ショールズ・モデルの歴史的意義/1.6 オプション理論の純数学化(リスク中立測度とマルチンゲール理論)/1.7 エキゾチック・オプションが次々に登場(デリバティブの隆盛)/1.8 事件の発生と前提条件への疑問(ブラック・マンデーの教訓)/1.9 修正モデルの登場(ボラティリティのスマイル)/1.10 証券化商品の発展と信用バブルの膨張/1.11 サブプライム・モーゲージとABS CDO/1.12 リーマン・ショック/1.13 数理ファイナンスは物理学ではない/1.14 明らかになった実態(ウォール街、格付会社、監督当局)/1.15 新たな規制と数理ファイナンスの関係/1.16 数理ファイナンスの現在位置   
第2章 ルイ・バシュリエからブラック・ショールズまで   
2.1 ルイ・バシュリエ(19世紀のランダム・ウォークによるオプション価格理論)/2.2 アローとドブリュー(一般均衡の存在)/2.3 市場のランダム性の研究(ケンドールとオズボーン)/2.4 MM理論(ファイナンス理論のパラダイム・シフト)/2.5 ブラック・ショールズ・モデルの原型の完成(スプレンクルとボネス)/2.6 CAPMの登場(ポートフォリオの理論からのアプローチ)/2.7 サミュエルソンが果たした役割/2.8 ギャンブルの理論からのアプローチ(ソープとカッスーフ)/2.9 効率的市場仮説(マンデルブロ、サミュエルソン、ファーマ)/2.10 ブラックとショールズのアプローチ(発想の転換)/2.11 ロバート・マートンの役割(理論の整理と伊藤の補題の活用)   
第3章 ファイナンス理論から抽象数学へ(マルチンゲールとエキゾチック・オプション)   
3.1 裁定価格理論─CAPMの拡張(ロスとロール)/3.2 リスク中立評価法とジャンプ拡散・二項過程(コックスとロス)/3.3 マルチンゲール測度による評価(ハリソンとクレプス)/3.4 完備性とマルチンゲール(ハリソンとプリスカ)/3.5 HJMモデルの革新性(マルチンゲール理論の成果)/3.6 エキゾチック・オプションの展覧会(ルビンシュタイン、ハウグ)/3.7 アカデミズムに組み込まれた金融工学(ダフィー)   
第4章 事件の発生と前提条件の微修正   
4.1 マンデルブロの予言(市場のファット・テール性)/4.2 最初の兆候(ブラック・マンデー)/4.3 ボラティリティのスマイル(スキュー)とローカル・ボラティリティ・モデル/4.4 CAPMの修正(ファーマ・フレンチの3ファクター・モデル)/4.5 デリバティブの暴走(バンカース・トラストとP&G)/4.6 超低金利下のランダム・ウォーク(対数正規分布それとも正規分布)/4.7 確率ボラティリティ・モデル/4.8 流動性問題の露呈(LTCMの破綻とロシア危機)/4.9 根拠なき熱狂(シラーの効率的市場仮説への疑問)   
第5章 クレジット・デリバティブとCDO(サブプライム・バブルの膨張)   
5.1 アメリカのモーゲージ証券/5.2 信用リスクの評価 その1(構造型モデル:マートン・モデル)/5.3 信用リスクの評価 その2(誘導型モデル:ジャロー・モデル)/5.4 クレジット・デリバティブの登場/5.5 CDOとシンセティックCDO(信用リスクの加工工場)/5.6 ガウシアン・コピュラの導入(リー)/5.7 シャドー・バンキング(SIVとABCPコンデュイット)/5.8 サブプライムCDO(レバレッジ投資需要への粗悪製品)/5.9 暴走するCDO(ABS CDO、売れ残り証券のリサイクル)/5.10 CPDO(究極のレバレッジ)/5.11 格付会社の果たした役割(AAA格債の濫造)   
第6章 リーマン・ショックと危機後の世界   
6.1 バーゼル規制とVaR/6.2 パリバ・ショック(突如訪れた崩壊の兆し)/6.3 リーマン・ショック(大崩壊)/6.4 批判を浴びた金融工学(ウィルモットのマニュフェスト)/6.5 リーマン・ショック後当局の対応/6.6 次々と明らかになった当局、金融機関、格付会社の行状/6.7 再び明らかになったデリバティブの暴走(ドイツ、日本、その他)/6.8 危機後の金融規制の概要(バーセルIII、店頭デリバティブ規制等)/6.9 市場慣習の変化とその意味(無リスク金利、完備性)/6.10 実測度の見直し/6.11 スマート・ベータ(ファクター運用の新たな機運)/6.12 ロボット運用とフィンテック(テクノロジーが主役の時代へ)/6.13 〔補遺〕マイナス金利時代の金利オプションの評価