国債膨張の戦後史

1947−2013現場からの証言

国債膨張の戦後史

定価:1,980円(税込)

編・著者名:米澤潤一 著

発行日:2013年12月02日

判型・体裁・ページ数:四六上・204ページ

ISBNコード:978-4-322-12395-1

書籍の説明

著者の略歴

米澤 潤一(よねざわ じゅんいち)   
昭和38年、東京大学法学部卒、大蔵省(現財務省)入省。主計局主計官、理財局国債課長、資金一課長、総務課長、同局次長、関税局長等を歴任。退官後日本銀行理事等を経て、平成16~24年(公財)金融情報システムセンター理事長。この間、政策研究大学院大学、同志社大学大学院等で客員教授・非常勤講師を経験   

書籍紹介及び目次抜粋

「何でもあり」の国債頼みは、いつから、どうして?   
長年渦中にいた元政策担当者が綴る渾身の財政金融クロニクル   
◆戦時公債による戦争と悪性インフレの反省から、戦後20年間収支均衡予算・非募債主義を誇っていた日本は、昭和40年度に、「財政新時代」の名分を掲げ“おそるおそる”国債発行を再開。爾来、不思議と10年ごとに財政規律上のタブーを犯してきた。とくにニクソンショック以来の円高恐怖と急速な高齢化に伴う社会保障費の膨張に対する対策の遅れが相まって、財政依存に対する日本人の不感症を増幅し、今日の破滅的国債膨張を招いている。   

◆一方、大量に発行され残高が累増した国債を消化するために進められた国債の商品性向上と市場インフラ整備は、わが国金融資本市場に飛躍的な発展をもたらした。かつて「御用金」と忌み嫌われた国債は、金融自由化の尖兵となった後、国内貸出を減らしたバブル崩壊後の本邦金融機関にとって、絶対になくてはならない運用資産にまで位置づけられるに至っている。   

◆本書は、この「二つの国債依存」の歴史に投影されたわが国財政金融の軌跡を、時々の政策運営スタンス、その背景にある政治経済情勢、世相転変の流れを長年その渦中にあって自ら見聞し、後には責任者として深く関わってきた著者が、克明に振り返る。一級の財政金融史料であると同時に、当事者として現場で見聞きした生々しいエピソード、著者独自の切り口によるプライマリーバランス分析等を交えて活写される国債膨張の軌跡は、再生か破綻かの岐路に立つわが国経済の将来への道も指し示している。   
●主要目次●   
第1部 戦争の影引きずる国債揺籃期   
第1話 財政と金融の両側面/第2話 財政法4条は憲法9条の裏書保証?/第3話 昭和40年度国債発行再開への道筋/第4話 歳入欠陥処理と位置づけた40年度分/第5話 「財政新時代」とPRした建設公債の発行/第6話 大蔵省広報誌の創刊/第7話 非募債主義からの転換の評価/第8話 「挙国一致」の国債発行等懇談会/第9話 引受シンジケート団の組成/第10話 発行条件と引受手数料問題/第11話 運用部が火種の40年度消化/第12話 「歯止め」が働いた昭和41、42年度/第13話 財政硬直化キャンペーン/第14話 村上孝太郎局長の迫力/第15話 予想外に早く実現した依存度5%目標/第16話 国債発行後初の条件改定は銀証対立/第17話 局あって省なしといわれた大騒動/第18話 大山鳴動してたった50銭の意味   
第2部 ニクソンショックから国債大量発行時代へ   
第19話 束の間の夢に終わった依存度5%/第20話 公債と一般公共補正追加の論点/第21話 四次防修正の後始末/第22話 悲壮感漲る政府声明/第23話 列島改造から福祉元年へ/第24話 泣きっ面に蜂の石油危機/第25話 特例公債発行への足どり/第26話 村上予言的中の特例公債依存/第27話 国債大量発行に外圧が拍車   
第3部 国債暗黒時代とその脱却   
第28話 国債の償還・借換え/第29話 売却制限緩和の歴史/第30話 「ロクイチ国債」の怨念で暗黒時代/第31話 暗黒時代脱却への努力/第32話 財政再建前史/第33話 一般歳出5年連続マイナス/第34話 国債消化面での工夫と努力   
第4部 「御用金」転じて金融自由化の尖兵へ   
第35話 コロンブスの卵「金国分離」/第36話 「飛ぶように売れる」国債へ/第37話 昭和60年度大量償還・借換対策/第38話 短期国債の導入/第39話 国債整理基金特別会計法改正/第40話 もう一つの公的金融自由化/第41話 バブル期の国債/第42話 消費税導入はネット減税で実現   
第5部 バブル崩壊から今日まで   
第43話 バブル崩壊後(前期)の国債/第44話 幻に終わった財政構造改革法/第45話 金融再生期の国債/第46話 リーマンショックから今日まで/第47話 国債消化面での現代的革新/第48話 国債残高増加の要因別分析/第49話 国債残高の構造あれこれ/第50話 建設公債原則の功罪/第51話 日本国債の展望と課題